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アンティーク家具におけるヴィクトリア様式

アンティーク家具におけるヴィクトリア様式

イギリスのアンティーク家具を語る上で
避けては通れないのがこの「ヴィクトリア様式」。

なんとなくヴィクトリア女王の時代の芸術様式ということは
わかっても、その特徴について詳細に
説明するのはなかなか難しいですよね。

そこでこの記事では、
そんなヴィクトリア様式の特徴についてご紹介していきたいと思います。


独自の潮流?イギリスの芸術様式について

ヴィクトリア様式についてご紹介するにあたって
まず重要なポイントになるのが、
イギリスのたどった独特な芸術様式の潮流にあります。

通常ヨーロッパ諸国においては、
多少の時代差やそれぞれの特徴がありつつも、
互いの芸術に影響を受け合い、
似通った芸術様式をもっていると言えます。

しかし、イギリスにおいては、
近世以降、独自路線での芸術様式が多く誕生しました。

島国であることや、
16世紀にはローマ・カトリックから離脱したしたことなどが
要因であると考えられますが、
いずれにせよ、その独自路線がイギリス独特の美しい
芸術様式の数々を育んで来たと言えます。



ヴィクトリア様式の家具

【概要】

ヴィクトリア様式の特徴は、
中世(ゴシック)の芸術様式に回帰しながらも、
前述した通りイギリス独自のアレンジが
加えられていることです。

また、ネオ・ゴシック(新ゴシック主義)、
ネオ・ロココ(新ロココ主義)が多く取り入れられています。

19世紀ごろには家具生産の現場でも
大量生産が取り入れられはじめ、
デザイン全体を通して一貫した規則性が
見受けられるのもヴィクトリア様式の特徴の一つです。

細かく繊細な彫刻が施された形状は存在感がありますが、
ロココ様式やバロック様式に比べると全体的に落ち着きがあり、
見ていてホッとするようなデザインとなっています。

一方、ロココ様式の特徴を引き継いだ
猫足型の曲線的な脚は、優雅な魅力を醸し出しています。

ヴィクトリア様式の家具には、
色彩はロココ同様に白を基調としたものもありますが、
ダークブラウンなど深みのある色が多いと言えます。

そのため、現代の私たちにとって受け入れやすく、
またどんな家の雰囲気にも比較的馴染みやすい
という特徴をもっています。


【成立】

ヴィクトリア様式は19世紀に流行した
「新古典主義」という古典芸術への回帰運動の中で誕生しました。

「新古典主義」とは、
主に古代ギリシアの規範的芸術様式に回帰し、
厳かな芸術を復興させようという考え方です。

また、中世に流行したゴシック様式を再評価し、
回帰しようという「ゴシック・リヴァイバル」の動きも加わり、
ゴシック様式を模した教会が多く建築されるなど、
ヨーロッパ全体として古典回帰が興りました。

古典回帰の流れの中でも
イギリスのヴィクトリア様式は華美な装飾を携えており、
ロココ様式に近い繊細な美しさをもっています。


【普及】

大量生産が可能になったこの時代、
こういった華麗な装飾を備えた家具は
一部の特権階級だけの楽しみではなく、
より広い世代に求められるデザインになっていきました。

また、リヴァイバルの運動が盛んになる中で、
建築様式と家具、調度品の様式を一つの様式に
統一する必要がなくなり、
バロック様式やロココ様式に見られた全体としての
芸術性を追求していく傾向は次第に薄れていきました。

さらに、前期ヴィクトリア様式では
華美な装飾が好まれロココ様式の名残を受けた
繊細なデザインが多くみられましたが、
後期になると家具の一般市民への浸透が進み、
より実用的かつ機能的なものが求められました。

広く民衆に浸透した時代の芸術様式なこともあり、
イギリスアンティークといえば
「ヴィクトリア様式」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

生産技術の向上により多くのこの時期の
アンティーク家具が残されていることだけでなく、
現代でもイギリスの街の至るところで
このヴィクトリア様式の建築を目にすることができるのは、
そのデザインが長きにわたり愛されるものだったからとも考えられます。


洗練された空気をまとう魅惑のヴィクトリア様式家具

存在感がありながら家具そのものの主張が強すぎず、
主役にも脇役にもなれるヴィクトリア様式の家具。

古典回帰を基盤としているヴィクトリア様式は、
一見、優美で柔らかな印象ですが、芯の通った力強さが感じられます。

お部屋に置けば、
全体の雰囲気をグッとエレガントにしてくれること間違いなしです。



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